海鳴り・波小僧あれこれ

2022年9月8日

波小僧とゆかいな仲間たち?

こちらの記事でも書きましたように、波の音伝承では「観天望気」つまり、天候を予測する筋立てが有名で、それを教えてくれる人間界の外側から来た存在が登場します。その代表が波小僧なのですが、話しによっては海の怪物や、河童、藁人形といった様ざまなヴァージョンがあります。

口伝えで語り継がれてきた物語ですから、それこそ無数のヴァージョンが存在するでしょう。しかし主だった物語を整理してみると、大きくは、山間部の藁人形タイプ沿岸部の波小僧や海の怪物タイプに大きく分類できるように思われます。さらに後者の場合、海の怪物ヴァージョンで、海や湖など「水上」で人が出くわすことが多いのに対して、波小僧ヴァージョンでは、田んぼに迷い込んだり、地引網で引き上げられたり、「陸上」で人が出くわすという状況が基本となっているように見受けられます。

また、それぞれのキャラ設定も面白いです。

僧侶(行基)に命を吹き込まれ、田植えを手伝う働き者の藁人形くん
漁師を脅したりするものの、逆に凄み返されて、退却させられてしまうへなちょこな海の怪物くん
そして、うっかり陸に上がってしまい、人間に助けられるドジかわいい波小僧

みんななかなかにキャラだってますね。

さて、これらのことから読み取れることはいったい何でしょうか?そこには、なかなかに奥深い、人間と自然環境との関係をめぐる秘密が隠されているように思われてなりません。

(だ)

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